雑談で何を話せばいいか。話題には順番がある
前回、リアクションの話を書きました。
今回は、その手前にある「何を、どの順番で話すか」の話です。
結論から言うと、話題には順番があります。
そして多くの人は、この順番を無視して失敗します。
まだ何も知らない相手に、いきなり踏み込んだ話をしてしまう。距離を縮めたい気持ちは分かりますが、これをやると一発で警戒されます。
順番は3段階です。
ステップ1:中身のない話
最初にやることは、中身のない話です。
天気、気温、その場のこと。
「今日、暑いですね」
「この時期、毎年きついですよね」
「そんな話に意味あるの?」と思うかもしれません。あります。
このステップの目的は、情報を交換することではないからです。
目的は、「この人なら普通に話して大丈夫だ」と思ってもらうこと。
まだ関係のない相手にとって、あなたは未知の存在です。何を考えているか分からない。何をしてくる人か分からない。
その状態で最初にクリアすべきなのは、面白いと思われることではなく、警戒を解くことです。
当たり障りのない話を普通にできる。それだけで「変な人ではない」「普通の人だ」と判断されます。
地味ですが、ここを飛ばすと次に進めません。
ステップ2:昔の話
安全だと認識されたら、次は昔の話に移ります。
- 学生時代に流行っていたもの
- 部活
- 子供の頃の遊び
- 育った場所
このステップの目的は、相手を知ることです。
そしてもうひとつ。「この人は私のことを知ってくれている」と思ってもらうこと。
人は、自分に関心を持ってくれる相手に心を開きます。
逆に、自分のことを何も知ろうとしない相手には、どれだけ話が面白くても心を許しません。
では、なぜ「昔の話」なのか。理由は3つあります。
① その人自身が見える
今の仕事や住んでいる場所より、どう育ってどんな経験をしてきたかのほうが、その人を形づくっています。昔の話を聞くと、その人の考え方の理由まで見えてきます。
② 誰にでもある
趣味や仕事は人によってバラつきますが、学生時代は全員にあります。だから話題が尽きません。しかも収入や今の生活といった、踏み込みすぎた話にもなりにくい。
③ 共通点が見つかりやすい
同じ時代を生きていれば、流行ったもの、見ていたもの、経験したことが重なります。
そして共通点が見つかったら、そこは盛り上がるポイントです。
人は「自分と似ている」と感じる相手に親しみを持ちます。「それ知ってる」「うちもそうだった」が出たら、迷わず掘ってください。
相手を知り、「この人と話すのは楽しい」と思ってもらう。それがこのステップのゴールです。
ステップ3:恋愛の話
ここまで来て、初めて恋愛の話に進みます。
なぜ恋愛の話が必要なのか。
それは、お互いを「異性」として意識するきっかけになるからです。
どれだけ楽しく話せても、恋愛の話題が一度も出ない相手は、「話しやすい人」で止まります。友達枠から出られない。
恋愛の話をすることで、初めてお互いが「異性」として意識される。
これは口説くという意味ではありません。同じ土俵に上がるということです。
恋愛の話で、やってはいけないこと
ここが一番デリケートです。3つ気をつけてください。
① 過去の相手を否定しない
「そんな男やめときなよ」
「それはひどいね、最低だな」
一見、味方をしているように見えます。でも相手からすると、自分の選択を否定されているのと同じです。
その人を選んだのは彼女自身です。否定すれば、彼女の判断を責めることになります。
共感するのは相手の感情であって、相手の元恋人への評価ではありません。
② 事情ではなく、感情を聞く
「なんで別れたの?」
「どのくらい付き合ってたの?」
これは事情聴取です。答えるのが面倒だし、話していて楽しくありません。
聞くべきなのは感情のほうです。
「それは寂しかったね」
「そのときどう思ったの?」
事実を集めるのではなく、気持ちを受け取る。前回書いたリアクションの話と、まったく同じ構造です。
③ 詮索しない。深追いしない
相手が話したくなさそうなら、すぐ引いてください。
恋愛話は、相手が話したい分だけ話してもらえば十分です。
無理に聞き出そうとした瞬間、あなたは「安全な人」から「詮索してくる人」に変わります。
ステップ1で積み上げたものが、一瞬で崩れます。
自分の話も、少しする
質問ばかりだと取り調べになります。自分の話も混ぜてください。
ただし、重い話は不要です。
「昔こういうことがあって」くらいの軽い自己開示で十分。
自分から少し開示すると、相手も開示しやすくなります。
そして「この人は恋愛の話ができる相手だ」という認識が生まれます。
距離感に合わせて段階を進める
目安としては、1〜2時間程度の会話の中でこの3段階を進めていくイメージです。
ただし、時間を基準に無理やり進めるのはNGです。
相手が話したくなさそうなら、前のステップに戻ってください。
警戒が解けていないのに昔の話を掘れば、あなたは詮索してくる人になってしまいます。
とはいえ、止まったままなら関係は進みません。
何度会っても同じ距離感。毎回どうでもいい話で終わる。
それを繰り返すと、相手の中であなたのポジションが固定されます。「話しやすい人」「お友達」として登録されます。一度そのフォルダに入ると、出るのは相当難しくなります。
無理に進めるのはダメ。でも、止まったままでも何も変わらない。
相手を見ながら、ステップを一段ずつ上げていきましょう。
まとめ
- 雑談には順番がある。中身のない話 → 昔の話 → 恋愛の話
- ステップ1の目的は「安全な人だ」と思ってもらうこと。中身は要らない
- ステップ2の目的は、相手を知ること。また、共通点を見つけ「話していて楽しい」と思ってもらうこと
- ステップ3の目的は、お互いを異性として意識するきっかけを作ること
- 恋愛の話では、過去の相手を否定しない・事情ではなく感情を聞く・詮索しない
- 3段階は1〜2時間が目安。回数を重ねるほど友達で固定される
- 時間は目安。相手の反応を見ながら、無理なく次の段階へ進む
雑談は、話術ではなく設計です。
どの段にいるかを把握して、相手の反応を見ながら一段ずつ進める。それだけで、関係は変わっていきます。